今年6月にリニューアルオープンした福井県の坂井市龍翔博物館の改修後初となる特別展「坂井の縄文土器 ひもとく文様のミステリー」が11月3日開幕する。近年の舟寄遺跡(同市丸岡町)などの発掘で、同市は県内トップ級の縄文土器出土地という。展示では北陸特有の形状をした「舟形土器」を多数並べ、土器に描かれた文様の謎や美しさに迫る。
同館によると、縄文時代(約1万6000年前~2700年前)の遺跡は、市内に「東向野」(丸岡町)、「大関西」(坂井町)、「舟寄」をはじめ、11の遺跡で形成される「坂井兵庫地区遺跡群」(坂井町)などがある。近年は
北陸新幹線建設工事などの関係で、舟寄遺跡(約4500年前の縄文中期)などから土器片が大量に出土している。今回は1980年代~2018年の発掘品を中心に約200点を展示する。
目玉の「舟形土器」は、口縁部が舟のように湾曲し、胴部が楕円(だえん)形に膨らんだ台付きの土器で、北陸で多く見られる形状という。
土器の文様の違い、美しさにスポットを当て、粘土ひもによる渦巻きや丸、X、Y字状などのデザインを間近で見ることができる。また「ギザギザ」「ぐるぐる」「つぶつぶ」など文様を擬音で表現したり、竪穴住居の暮らしを人形で表現した模型など、子どもにも分かりやすい展示となっている。
学芸員は「縄文土器をじっくり見て、文字を持たない縄文人がどのように美しい文様を生み出したのかを考えてみてほしい」と話している。
同展は1月8日まで。特別展は、入館料(一般400円)で見ることができる。高校生以下は無料。