水産加工を手がけるシーサイド・ファクトリー(新潟県佐渡市稲鯨)は、北海道の魚介類を瓶に詰め込んだ「ほっかい瓶」を新発売した。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に伴い、日本産水産物の輸入を停止する国もあり、苦境に立たされている漁業関係者が少なくない。シーサイド社も主力のナマコ事業の先行きが見通せない中、現状を打開しようと、同じ立場の北海道の漁師らとタッグを組んだ。シーサイド社は「困った時こそお互いさまの考えで、おいしさをアピールしていきたい」としている。
シーサイド・ファクトリーは2011年設立で、年商約1億6千万円。地魚を加工した「魚の生ハム」シリーズなどの販売に力を入れている。魚の生ハムシリーズは今春から、日本航空の羽田空港、成田空港の国際線ファーストクラスのラウンジで提供されるなど好調だ。
ただ、8月下旬から中国が日本産の海産物の輸入を停止したことから、年商の大半を占めるナマコ事業に暗雲が立ちこめている。こうした状況の中、「同じように困っている人たちと何かできないか」と社内でアイデアを出し合い、シーサイド社が今年から販売している「佐渡のごっつお瓶」シリーズの北海道バージョンを製造することにした。
北海道のホタテ漁師らに提案したところ歓迎され、10月中旬から販売を開始。小型の瓶に海鮮がぎっしりと詰まっていて、ご飯にかけて食べる。現在はチェリーサーモン、ウニ、タラバガニ、ホタテ、石狩漬けの5種で、1490円〜2719円。今後ボタンエビもラインアップに加わる予定だ。
同社の出﨑ユカリさん(43)は「こういう時こそ、日本の海鮮のおいしさを届けるのが加工メーカーの仕事だと思う。素材のうまみを生かし、ご飯が進む味に仕上がった」と話している。
通販サイト「おとなの週末お取り寄せ倶楽部」か、シーサイド・ファクトリー本社で購入できる。問い合わせは同社、0259(76)2071。