ゲストハウス「又三郎」の前に立つ西川さん

ゲストハウス「又三郎」の前に立つ西川さん

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滞在型観光と移住促進 富山県朝日町笹川地区にゲストハウス2軒誕生

北日本新聞(2024年1月1日)

 過疎化が進む富山県朝日町笹川地区に、空き家を改装したゲストハウスが2軒誕生した。チューリップ畑や北アルプスなどが織りなす景観「春の四重奏」を見ようと訪れる人らに利用してもらって滞在型観光を促し、地区のにぎわいを創出したい考えだ。田舎暮らしの魅力を発信して移住促進にもつなげる。

 笹川地区はピーク時に約200世帯が暮らしていた。だが、高齢者が、家族の住む他の場所に移り住むなどしたため半減。それに伴い空き家も増えている。

■築100年 レトロ

 築約100年の古民家を購入して、家族でゲストハウス「又三郎(またさぶさ)」を運営するのが日本舞踊宗家西川流師範の西川扇京梅(せんきょうばい)さん(30)だ。同地区で生まれ、中学生の時に日本舞踊を始めた。近年は日本文化に触れたいと訪日する外国人旅行客も増えていることから、長く続けている日本舞踊を生かして故郷を活気づけたいと一念発起した。通訳は英語が堪能な双子の姉が担当する。

 ゲストハウスは西川さんの父親らが壁を塗り替えるなどした。1階は踊りや着付け体験を手ほどきする部屋のほか、キッチンや畳の間などからなり、レトロな雰囲気が特徴だ。2階は天井に重厚な梁(はり)を張り巡らせたリビングとなっている。西川さんは「神社や寺がある自然豊かな場所で伝統文化を体感してほしい」と話す。2023年12月に完成し、専用旅行サイト「Airbnb」を通じて24年3月からの予約を受け付けている。宿泊料金は2人1万5千円からで定員は8人。

■"同窓会"で利用

 「笹川に人が集まり、泊まれる場所をつくりたい」。そんな思いで23年8月にゲストハウス「久左衛門(きゅうざんさ)」を開いたのは長年、笹川地区で暮らしている深松隆さん(62)。きっかけは帰省した人が、わざわざ町外のホテルに宿泊している現状を目の当たりにしたことだった。知人の空き家を購入して改装。開設以来、お盆などに少人数の"プチ同窓会"の利用があるという。Wi-Fiを完備し、テレワークや打ち合わせができる部屋を備え、会議などで使うケースもある。宿泊料金は2人1万2千円からで、定員8人。

 深松さんは建設業の深松組専務北陸支店長で、黒東交通安全協会や防犯組織「朝日町警愛会」の代表も務める。笹川地区で小水力発電所の運営を手がけるなど多方面で地域振興に取り組む一方、町の人口減少に危機感を募らせる。西川さんとは親交があり、地区の盛り上げに協力していく考えで「町を訪れる人たちに少しでも長く滞在してもらいたい。テレワークなどを通して田舎の良さを体感し、ゆくゆくは町に住んでほしい」と話している。

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