魚津市内の海岸で18日、今年初めての上位(春型)蜃気楼(しんきろう)が観測された。魚津埋没林博物館が、富山や射水、黒部の各方面のほか、能登半島の風景に伸びなどの変化を確認した。5段階(A~E)で示す発生状態は4番目のDランクだった。
午後1時40分ごろ、射水方面で山並みの伸びや新湊大橋の変形が見られた。同3時50分ごろからは各方面に短時間の変化が次々と現れ、黒部方面の海岸では、アーティストユニット「山下麻衣+小林直人」(千葉市)が堤防に設けたm字型アートが伸び上がった。
同館によると、移動性高気圧が日本列島の東に位置したほか、内陸の気温が上がった一方で海沿いに冷たい空気が流れ込み、風景が上方向に変化する「上暖下冷」の空気層が生まれた。佐藤真樹学芸員は「蜃気楼発生の好条件がそろった」と説明した。
この日は昨年8月以来の上位蜃気楼となり、魚津港そばの展望地では愛好家らがカメラを向けた。
同館が観測を始めた1992年以降、2月に記録されたのは2010年(1回)と21年(4回)に続いて3シーズン目。年間最多は18年の42回で、昨年は1月12日の第1号から38回出現した。