福井県坂井市の越前松島水族館に3月7日、3メートル超、重さ40キロ以上に成長するタコの世界最大種ミズダコに特化した展示施設「みずだこ館」がオープンした。延長約8メートルの造形のタコの足に六つの水槽を配置した「タコに触れる」コーナーは人気で、親子連れらが「でっかい!」「軟らかい」などと大はしゃぎしていた。同館によると、ミズダコのみに絞った展示施設は国内初という。
ミズダコは主に北陸以北などの水が冷たい海域に生息。地元の三国町安島でもよく捕れ、食用などにされている。マダコに比べ水っぽく軟らかい体で、表面に細かいしわが多いのが特長。
館内の壁一面には、まるで大ダコが現れたかのようなだまし絵が描かれている。そこから延びてきた2本のタコ足の中に六つの水槽があり、中に1匹ずつ入ったミズダコに触れることができる。来場者は恐る恐ると手を入れ、吸盤や頭のブヨブヨ感を体感。すずらんこども園(坂井市)の高嶋桃芳ちゃん(6)は「怖かったけど、触ったら本当に軟らかだった」と喜んでいた。
ガラス越しに産卵の様子や、ふ化した赤ちゃん(浮遊期幼生)を見ることができる水槽などもある。
ミズダコの生態にはなぞが多く、稚ダコまでの飼育方法が確立されておらず、幼生は約1カ月でみな死んでしまう。30年以上の飼育歴がある同館でも「半年」が最長で、稚ダコに育った例はない。
飼育員が赤ちゃんに餌を与えるところをガラス越しに見学できる「タコラボ」も用意した。展示課長は「マダコは稚ダコまでの生育に成功した例があるが、ミズダコは難しい。ここには幼生のサンプルもたくさんあるので、大学などの研究機関と連携し、将来はぜひ繁殖に成功したい」と話している。