福井県あわら市の芦原温泉駅周辺は3月16、17日、北陸新幹線歓迎イベントでにぎわいを見せた。開業に向け、駅西口の通称「駅前商店街」では昨年から、フルーツ店や飲食店など3店が市の補助を受けオープン。駅から観光地への2次交通対策も行われてきたが、今後の持続的なにぎわいづくりへはまだ道半ば。多目的施設、公園整備も本格化するのはこれからだ。
■一時は行列も
駅前商店街のフルーツ店「みやび」はオレンジやキウイ、イチゴなどが描かれた華やかな看板が目を引く。16日の「新幹線歓迎会」では、金津高生とコラボしたスイーツ3種類を販売。一時は行列ができるほどで、オーナーは「新幹線の開通で、1割くらい売り上げが伸びてくれたら」と期待を寄せる。
観光客増を見込み、市は補助金で、いわゆる"シャッター商店街"の空き店舗改修費などを支援。それを利用し「みやび」などがオープンした。前川嘉宏副市長は「少しずつ駅周辺のにぎわいが増えてきたが、まだまだ足りない。もっと多くの事業者が入居できるよう、市としても応援していきたい」と話す。
観光客らをもてなす店舗増に加え、集客につながる催しや仕掛けづくりも欠かせない。駅西口のアフレアは昨年、地元産フルーツのイベントなど休日を中心に家族らで楽しめる企画を次々と展開。担当者は、今春以降も継続して実施する考えで「観光客と地元の方の両方に訪れてもらいたい」とする。
■市内外周遊も気軽に
課題だった2次交通では、市と大手エネルギー関連のENEOS(エネオス)が共同でカーシェア事業を始めた。「市内外の周遊に」(市生活環境課)と電気自動車を駅西口近くの駐車場、温泉旅館などに計7台配備。最短15分から利用でき、利用状況次第では増車も考えている。
4月以降は、同駅やえちぜん鉄道あわら湯のまち駅で金土日曜の夜に到着した客向けに、タクシーを両駅に2台ずつ待機してもらう市の事業も始まる。坂井・あわらエリア周遊滞在型観光推進協議会も芦原温泉駅などで、高級輸入車を使ったカーシェア実証事業に乗りだし、官民の対応が進む。
■進行中の再整備
課題は残っている。カフェなどが入る同駅近くの多目的施設「aキューブ」は利用が少なく、解体を含めた利活用の方法を模索中。昨秋、官民連携のワークショップでは、居酒屋や飲食店の誘致、保育所や野菜直売所としての利用の提案があった。アフレアとの差別化が必要になる。
住民らの憩いの場として駅前児童公園(約2200平方メートル)の整備計画も進む。トイレを新設したり、近くを流れる竹田川の堤防と公園内の高低差をなくす盛り土を施したりする。市土木部によると、地元住民らと協議し2024年度に詳細を決め、25年度に工事に入る予定だ。
前川副市長は「今のあわらはまだ中間地点。市民や観光客が一層楽しめるよう、市としてaキューブや公園の整備を早く進めていきたい」としている。