新潟と中国東北部の拠点・ハルビン市を結ぶ定期航空路、新潟-ハルビン線が1日から、開設以来初めて毎日運航される。本県や首都圏などと中国東北部をつなぎ、帰省や観光、交流を支えてきた直行便の利便性がさらに高まる。「友好の翼」は今後どんな出会いをもたらすのか。これまでの歩みを振り返るとともに、新潟とハルビンを行き来する2人に期待を聞いた。
新潟-ハルビン線は、国内と中国・黒竜江省ハルビンを結ぶ唯一の直行便として1998年6月に定期就航して以来、中国東北部との往来を支えてきた。首都圏に住む中国東北部出身者らの帰省路線として定着したのに加え、増加する訪日観光客も利用を押し上げている。
戦前・戦中に多くの県人が満州開拓団として中国東北部に渡るなど、黒竜江省と本県との関わりは深い。1983年には県と黒竜江省が友好提携を結んだ。交流を重ねる中、日中航空交渉の進展や関係者のセールスによって空路開設が実現。週1往復からスタートし、順次増便された。
年間旅客数は2000年度に3万人を超え、01年10月には週4往復となった。しかし、政府の沖縄・尖閣諸島の国有化をきっかけとした日中関係の悪化などにより、12年10月に週2往復に減便。12年度の旅客数は約2万5千人と低迷した。
その後は週3~4往復に回復。訪日観光客の急増を受けて今年7月に週6往復、さらに9月1日から就航後初の毎日運航に拡充される。
運航する中国南方航空新潟支店によると、15年4~7月の旅客数は1万8234人に達した。前年同期の約1・6倍に増えており、同支店は本年度の旅客数が過去最多になると見込む。
当初は新潟空港だけの「オンリーワン路線」だったが、05年9月に関西国際空港にもハルビン線が就航。11年12月~12年10月には成田空港からもハルビンへの直行便が飛んだ。ことし6月には中部国際空港でも格安航空会社(LCC)の運航が始まるなど、競争が激しくなりつつある。
県空港課は「新潟空港は地理的に最も近い。ハルビンに接続する高速鉄道を生かした近隣都市からの誘客も期待できる」とし、PRに力を入れる考えだ。
<新潟-ハルビン線の歩みと主な出来事>
1972年 9月 日本と中国が国交正常化
79年12月 新潟市とハルビン市が友好都市に
83年 8月 県と黒竜江省が友好提携
98年 6月 新潟-ハルビン定期路線開設
2000年度 旅客数が3万人突破
01年10月 週4往復に増便
10年 6月 新潟市に中国総領事館開設
11年10月 県がハルビンにビジネス連絡拠点開設
12年 9月 政府が沖縄・尖閣諸島を国有化
10月 週2往復に減便
13年 7月 週4往復が復活
15年 7月 週6往復に増便
9月 毎日運航化