越前焼の後継者を育てる「伝統工芸職人塾」塾生による作品展が、越前町小曽原の県工業技術センター窯業指導分所で開かれている。塾生の約1年半の研修の成果を披露している。6月末まで。
塾は、丹南地域の五つの伝統工芸産地組合や行政などが連携する「越前ものづくりの里プロジェクト」の一環で、2014年に始まった。越前焼では片山裕二さん(37)=福井市=と、尾浪(おなみ)晶世さん(27)=鯖江市=を受け入れ、約1年半の間、技術研修や他産地への視察などを行ってきた。今回の展示は、片山さんの修了に合わせて初めて企画した。
約40点を展示。越前焼の伝統技法「ねじ立て」で作ったつぼには、成形時の手の跡が残る。ほかにも「金継ぎ」で修復した湯飲みや、石こうを利用した置物もある。パネル展示は塾の説明や研修の様子を紹介している。
指導に当たった越前焼作家の日向(ひゅうが)豊さん(40)=越前町小曽原=は「二人とも真剣に取り組み、少しずつ成長してきた」と目を細める。今春修了した片山さんは独立に向けて準備中。「基礎から学び、勉強になった。日本の古陶が好きなので、これからの制作で追求していきたい」と話していた。