高田世界館が新たに導入した映写機。主流のデジタル上映方式に対応している=上越市本町6

高田世界館が新たに導入した映写機。主流のデジタル上映方式に対応している=上越市本町6

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上越・高田世界館 上映設備更新中 照明購入費寄付募る

新潟日報(2019年1月23日)

 現存する映画館で最古とされる新潟県上越市本町6の「高田世界館」が上映設備の更新を進めている。現在、主流となっているデジタルの上映方式に対応することで作品の幅が広がり、上映の全自動化も図られるという。同館を運営するNPO法人「街なか映画館再生委員会」は昨年12月、自己資金で新たな映写機を先行導入したものの、連動して作動する館内照明の購入などにはさらに資金を要するとして、500万円を目標に寄付を募っている。

 世界館ではこれまで、フィルムとブルーレイディスク(BD)を使って上映してきた。だが、近年は撮影から上映まで一貫してデジタルデータを用いる「デジタルシネマパッケージ」(DCP)と呼ばれる方式が主流。DCPの上映には専用の映写機やサーバーなどが必要となるが、築100年を超える同館は建物の改修を優先してきた。

 昨年12月にDCPを導入するまでは、同館で上映できる作品はラインアップが限られ、新作でもDCPより遅れて配給される上映用のBD素材に頼らざるを得なかった。

 DCP導入で映画の高画質化も図られるが、同館の上野迪音(みちなり)支配人(31)は照明の調整や映写機の操作が全自動化されることを重要視する。「映写室に行かずとも、窓口にいながらスイッチ一つで上映作業が完結できる。負担が減り、接客に力を入れられる」と語り、少数のスタッフで営業する世界館にとっての利点を強調した。

 新しい映写機は既に導入したが、台所事情は苦しい。DCPに対応した館内照明は一部で、いまだ手動。イベントでホールを利用する際には、光量が足りないなどの課題もある。

 これまでに約100万円が集まった。3月ごろまでにはDCP導入を完了させたい意向だ。NPO法人の岸田国昭理事長(55)は「上映の負担が減れば、街を巻き込んだ企画など、世界館の可能性が広がると思う」と期待する。

 寄付者の名前は木札に刻印して館内に掲示する(希望者のみ)。寄付は1口5千円。同館に持参するか、送金する。送金はゆうちょ銀行「00590-9-83984」、名義は街なか映画館再生委員会。問い合わせは同再生委、025(520)7626。

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