福井県坂井市の一般社団法人三國會所などは8日、同市とまちづくりで連携事業に取り組む東京都品川区に、市内に残る「三國」と「品川」の地名が隣り合った江戸末期の遊郭番付表の複製を寄贈した。三國會所では「古くからの縁を大切にし連携を強めていきたい」と話している。
市と同区は、東京23区が全国各地との共存共栄を目指す「特別区全国連携プロジェクト」に基づき、昨年11月から事業を進めている。これまでにしながわ水族館で越前がに「極(きわみ)」を生体展示したり、特別栽培米「花あかり」を試食販売したりした。区教委の学校視察も受け入れている。
同市三国町の料亭「川喜(かわき)」が所蔵する番付表に「三國」と「品川」が並んでいることを知っていた同會所側が寄贈を計画。複製し、縦約80センチ、横約60センチの額に入れた。
みくに龍翔館によると、北前船交易で栄えた三国湊には江戸時代、約40軒の遊女屋や芸者小屋が立ち並んでいた。俳諧で活躍した哥川(かせん)のように高い教養を持つ遊女もおり、文化の中心地でもあった。品川は東海道1番目の宿場町で、江戸四大宿の一つに数えられた。
番付表は江戸末期のものと思われ、日本全国100カ所以上の地名が載っている。三國は最上段の右から5番目に掲載され、品川は右隣にある。同館は、ともに全国屈指のにぎわいだったことを示す好資料としている。
三國會所の大和(やまと)久米登(くめと)理事長らが8日、同区役所を訪れ寄贈した。大和理事長は「今後もさまざまな面で互いのPRを進めていきたい」と話した。同区の濱野健区長は「ありがとうございます。品川歴史館の所蔵とします」とコメントした。
番付表の複製は3月18日まで、同市三国町北本町4丁目の三国湊町家館で展示している。