例年なら一帯を覆っている雪が見られず、岩場がむき出しになっている涸沢のテント場(手前側)=6月29日

例年なら一帯を覆っている雪が見られず、岩場がむき出しになっている涸沢のテント場(手前側)=6月29日

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少雪北ア、水不足に恐々 中腹の山小屋、対応を模索

信濃毎日新聞(2016年7月9日)

 北アルプス南部の中腹にあり、雪解け水を利用している複数の山小屋が、本格的な夏山シーズンを前に、水不足を心配している。昨冬は雪が少なく、水源となる雪渓が極端に少ないためだ。貯水対策を始めた小屋もあり、関係者は一様に「こんなシーズンは初めて」と戸惑っている。

 涸沢カールにある標高約2300メートルの山小屋、涸沢ヒュッテでは4月中旬の小屋開けの際、例年なら屋根の上に多い所で5〜6メートルの積雪があるが、今年は2〜3メートルで屋根が見える場所もあった。

 現在、例年なら雪に覆われているテント場には雪がない状態。カールの斜面の雪も少なく、岩肌がむき出しになっている場所が多い。

 テント場近くの涸沢小屋は6月末、12個ある貯水タンクに水源の沢から引いた水をため始めた。例年は7月末から万一に備え水を蓄えるが、「(沢の上部にある)雪渓は例年になく小さいため今年は早めた」と同小屋社長の芝田洋祐さん(57)。

 横尾尾根を挟んで涸沢の北東側にある槍沢の槍沢ロッヂ(標高約1820メートル)も6月末に水源を沢から滝に切り替えた。例年は沢の水が減る7月下旬に切り替えるが、今年は減り方が激しかった。スタッフの間で「水は秋のシーズン終了まで持つのか」と心配する声が出ているという。

 柴田さんらによると、稜線(りょうせん)近くにある小屋は雨水をためて利用するのに対し、中腹にある小屋は雪解け水を活用している。中腹の小屋は雪解け水がなくなると、「いっぺんに困ってしまう」(芝田さん)というのが実情だ。

 涸沢ヒュッテ支配人の小林剛さん(52)は「水が枯れればヘリコプターで運び込むか、貯水タンクを増やして雨水をためるかだ」とする。ただ、ヘリで一度に運べる水は約0・5トン。秋の最盛期なら1日の使用量に満たないという。「今年は水の有料化も検討することになりそうだ」としている。

 ただ、いずれの小屋も現時点では水は確保できているという。槍沢ロッヂ支配人の村田壮さん(33)は「水が足りなくなれば新たな水源を探す」、涸沢ヒュッテの小林さんは「十分な雨が降れば、問題はなくなる」とする。

 涸沢小屋の芝田さんは「われわれは自然を相手にしており、どんなケースにも対応できるよう考えている」と話している。

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