県水産試験場(安曇野市)が開発し、従来の2倍近くに育つイワナ「信州大王イワナ」の初出荷が1日、始まった。県は2014年度から養殖業者に稚魚を出荷しており、本年度は食用魚約6トンの出荷を見込む。この日は長野市内でお披露目会もあり、関係者から「海なし県」の新たな名物に―と願う声が聞かれた。
県によると、信州大王イワナは生殖能力をなくしたため産卵期もやせ細らず、年間を通じて肉質が良いのが特長。身は白っぽく、刺し身に向くほか、癖がなく和洋中いずれの料理にも合うという。稚魚の配布を続けており、2〜3年後には10〜20トンに生産量を増やす計画だ。
旅館、ホテル関係者ら約50人を招いたお披露目会では、塩釜焼きや押しずし、ムニエルなど県調理師会考案の料理がずらり。同試験場が開発した信州サーモンの赤身と共に並べた「紅白」の刺し身もあった。
信州大王イワナを命名した、県の「おいしい信州ふーど(風土)」大使でエッセイストの玉村豊男さんは「(信州サーモンとともに)赤白2トップがそろった。安定供給で信州の顔になってくれたらいい」と期待を込めた。