3年半にわたる大修復を終え5体そろった五智如来の坐像=18日、福井市滝波町の五智如来堂

3年半にわたる大修復を終え5体そろった五智如来の坐像=18日、福井市滝波町の五智如来堂

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五智如来坐像が平安期の姿に 江戸期以来の大修復終え披露へ

福井新聞(2016年9月21日)

 福井市滝波町の五智如来堂に安置されている福井県指定文化財の五智如来の仏像が、江戸時代以来という大修復を終えこのほど、3年半ぶりに5体全てそろった。同町自治会の田中茂美会長(68)は「ようやく5体がそろい、荘厳な姿がよみがえった」と誇らしげ。25日には地元住民に公開する。

 同如来堂は同町自治会が管理。像高約160センチの大日如来坐像を中心に、像高約100センチのほかの如来坐像が左右に2体ずつ並んでいる。いずれも今から約千年前の平安時代後期に作られたとされ、1本のケヤキから作られた一木造りとなっている。

 仏像の劣化が激しかったことから、県と市の助成を受け2013年に大日如来坐像の修復に着手。14年に釈迦(しゃか)、薬師の両如来坐像、昨年、阿弥陀(あみだ)、宝生の両如来坐像が滋賀県の文化財修理所に入れ替えで修復に出された。

 江戸時代に、和紙と漆で全体を覆うように修復されており、今回、表面をはがしたところ、制作当時の威厳ある顔立ちや金箔(きんぱく)が現れた。5体の中でも阿弥陀如来坐像の傷みが最も激しく、腐食するなどして像が傾いている状態だった。パーツごとに分解し新しい木を差し込んだり、虫食い穴には樹脂を充填(じゅうてん)したりして補修。17日、1年半ぶりに最後の2体が戻り、5体全てが平安時代の本来の姿によみがえった。

 田中会長は「今回の修復によって町内外の人が五智如来の存在を見直すきっかけになった。千年間、住民が大事に守ってきた五智如来を後世に守り伝えていきたい」と話している。

 25日の同町の秋祭りで地元住民に公開。10月14日から福井市立郷土歴史博物館で開かれる特別展「福井の仏像」(福井新聞社共催)では5体と剥離された表面も合わせて展示し、修復工程を紹介する。来年6月には開眼法要を営む予定。

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