「-こころの軌跡-歓喜の人 棟方志功展」(北日本新聞社共催)が開かれている南砺市福光美術館で12日、学芸員のギャラリートークが開かれた。参加者は作品解説を通して志功の創作の根底にある深い仏教の世界観に触れた。
同展は、志功が真宗の求道者たちと出会い、他力の信心を深めた福光時代の作品を中心に、仏教を主題とした傑作の数々を展示している。
初めて仏教を作品テーマにした板(はん)画(が)「華(け)厳(ごん)譜(ふ)」(1936年)から最晩年の倭(やまと)画「捨(しゃ)身(しん)施(し)虎(こ)の柵」(74年)まで、渡邊一美学芸員が順に解説し、志功の宗教観の深まりと表現の変容をたどった。
戦後間もなく福光で手掛けた板画「鐘(しょう)溪(けい)頌(しょう)」(45年)は既成概念にとらわれず、大胆に裸の女性を仏として描いた作品。渡邊学芸員は「表現の自由の風潮と相まって志功が心の中にある仏教の世界観を自由に描いた。その後の作品のかたちを決定づける表現になった」と解説した。
同展は5月10日まで。ギャラリートークは29日、5月4日にも開かれる。