五箇山合掌造り集落の世界文化遺産登録20周年を記念した「五箇山合掌文化アカデミー」の2日目は31日、川崎市の野外博物館「日本民家園」で開かれた。五箇山の住民たちが合掌造りの構造や暮らしぶりを紹介する講座と展示を行い、大勢の来場者が五箇山について楽しく学んだ。
講座や展示は五箇山から同園に移築された合掌造り家屋3棟を会場に行われた。
世界文化遺産・相倉合掌造り集落(平)の住民、池端良公さん(54)は自宅屋根の茅(かや)の葺(ふ)き替え作業をスライドで紹介し、五箇山と白川郷(岐阜県)の合掌造りの違いなどを解説。家屋の維持管理に最も重要なのは茅の確保で、山の急斜面で行う重労働の茅刈りは今でも住民の手で担われていることを話した。
五箇山の歴史文化を子どもたちに伝えようと絵本作りなどに取り組む女性グループ平郷土学習会は「五箇山の心を知る」と題した講座を開き、大瀬和美さん(63)らが住民のあつい信仰心の現れとして今も続く報恩講を紹介した。
南砺市観光協会副会長も務める池端さんは「世界遺産20周年に加え、ことしは北陸新幹線元年でもある。住民がじかに語り掛けた講座が首都圏からより多くの人を五箇山に呼び寄せるきっかけになることを期待したい」と語り、講座を聴いた川崎市宮前区の荒井住夫さん(67)は「五箇山には古い建物だけでなく、昔ながらの心と暮らしが残っていると実感した。ぜひ行ってみたくなった」と話した。
報恩講料理のパネル、五箇山和紙にプリントした風景写真の展示、五箇山民謡「麦屋節」「こきりこ」の披露とこきりこのささら踊り体験会もあった。