文化審議会は17日、南砺市城端(大工町)の町家「じょうはな庵(いおり)」(旧中谷家住宅)と、同市大鋸屋(おがや)(城端)の「旧大鋸屋小学校体育館」の2カ所3件を国登録有形文化財(建造物)にするよう下村博文文部科学大臣に答申した。近く告示される。県内では3月の県庁舎本館以来の答申で、登録文化財件数は53カ所107件となる。
じょうはな庵は、母屋(木造2階建て、建築面積84平方メートル)と土蔵(2階建て、同19平方メートル)の2件を答申した。母屋は1905(明治38)年ごろの建築とみられ、突き出した梁(はり)に支えられた長い軒や2階両側の袖壁などが城端地域の町家の特徴をよく残している。漆喰(しっくい)壁の土蔵は明治中期の建築とみられる。
一昨年に住民有志が購入し修繕。城端曳山(ひきやま)祭で庵唄を聴く所望宿や住民のコミュニティー施設として活用している。じょうはな庵の松平保夫代表は「登録を機に一層多くの人に使ってもらえるよう維持管理に努めたい」と語る。
29(昭和4)年築の旧大鋸屋小体育館は希少な戦前の木造学校建築。外観は下見板張りで、妻壁は板を台形に張って意匠を凝らしている。内部の小屋組みは3角形のトラス構造で木材と鋼材を併用した独特の工法を用いている。
66(昭和41)年の閉校後、製材工場として使われたが、90(平成2)年から城端町(現南砺市)が所有し「大鋸屋地区軽スポーツセンター」として地域活動やハンググライダー教室の拠点となっている。松本久介大鋸屋地区自治振興会長は「補修しながら地域を挙げて往時の姿を守っていきたい」と話す。