富山大芸術文化学部の学生らは22、23の両日、高岡市で開かれる「高岡山町筋土蔵造りフェスタ」(北日本新聞社共催)で、国重要文化財の菅野家(同市木舟町)の軒下にデジタルアートを投影する「軒下プロジェクションマッピング」を初めて実施する。伝統的な町家の軒天井を絵巻物に見立て、学生が制作した映像で鮮やかに彩る。投影は両日とも午後6時半~8時。
投影場所は軒下の白い漆喰(しっくい)塗りの天井で、奥行き1・12メートル、横幅6・04メートルの細長い部分。通常のプロジェクションマッピングは壁面に施されることが多いため、発案者の辻合秀一准教授は「当たり前でない空間を作り出せる。こんな面白いことができるということを発信したい」と語る。
映像は、辻合ゼミの4年生4人がそれぞれ制作した約1分間の作品をつなげる。北村彩華さんは、高岡御車山(みくるまやま)の幔幕(まんまく)の模様をベースに制作。前田紘江さんは「山町筋」の文字を回転させて万華鏡のように見せ、征矢尚子さんは軒下の天井飾りの鏝絵(こてえ)が動いて見えるような工夫を凝らした。五百崎栞さんは、川底から見上げる風景を表現した。
19日夜、菅野家で試験投影を行った4人は「古くからの建物に映すと違う味わいがあり、挑戦して良かった」「皆さんの反応を見るのが怖い半面楽しみ」などと話した。
辻合准教授は「他の場所でも応用できる仕掛け。発展させていけるといい」と話している。
今回の成果は、9月の電気関係学会北陸支部連合大会(石川)と、11月のCG学術会議「NICOGRAPH」(大阪)で発表する予定。