■独自開花技術でミニフェア
県花卉(かき)球根農業協同組合(砺波市大門、清都和文組合長)は、県産チューリップ球根8千球を砺波市と交流する台湾・嘉義(かぎ)市に贈り、春節でにぎわう来年2月に咲かせる。温暖な台湾では通常、チューリップは咲かないが、独自の開花技術を用いることで台湾の"ミニチューリップフェア"を実現する。砺波市の協力を得た取り組みで、20年以上途絶えている輸出再開につなげ、球根栽培の活性化を目指す。
県花卉球根農業協同組合は台湾での球根植え込みを先行投資として位置付け、費用を負担。翌年以降の嘉義市への販売や台湾でのチューリップ球根の需要喚起につなげる。
日本でのチューリップ栽培は球根を秋に植え、冬の低温を経て翌春に開花する。組合は需要の多いクリスマスなどに開花させるため、冷蔵庫で人工的に冬をつくり、低温処理して一足早く開花させる促成栽培の技術を確立。この技術を応用し、沖縄でも開花させている。
台湾で植える球根は「黄小町」や「とやまレッド」「由子(ゆうこ)」など16品種を検討。県内で育成された品種を中心とすることで独自性を打ち出す。現在、組合の冷蔵庫で低温処理しており、12月までに輸送し、100年の歴史がある「嘉義公園」に植え込む。夏野砺波市長が10月末に現地を訪れる際にセレモニーを行う方向で調整している。
県は2012年の台北便就航を機に、台湾中西部の嘉義市で観光物産展を毎年開催。13年には嘉義が始発駅となる登山鉄道「阿里山(ありさん)森林鉄路」が黒部峡谷鉄道と提携している。砺波市も嘉義市でとなみチューリップフェアやチューリップ四季彩館への誘客キャンペーンを展開しており、昨年11月には夏野市長が現地の百貨店でチューリップ切り花を配布し、人気を集めた。
県内のチューリップ球根栽培は生産者の高齢化で栽培規模の縮小に歯止めが掛からず厳しい状況にある。かつて県内から北米を中心に球根を輸出していたが、低価格のオランダ産に押されて1991年から途絶えている。
組合の水越久男常務理事は「交流のある嘉義市での取り組みを、台湾で県産チューリップ球根の需要拡大につなげる足掛かりにしたい」と期待する。