飯田下伊那地方で、特産の干し柿「市田柿」の加工作業が本格化している。農家の作業場には柿をひもにつるした「柿すだれ」がお目見えし、オレンジ色が鮮やかだ。みなみ信州農協(本所・飯田市)によると、今年は天候に恵まれて実が大きく、熟す具合も昨年より3〜5日早めだ。
阿智村伍和の柿農家、河合郁夫さん(70)は、妻孝さん(66)と干し柿作りに取り組む。郁夫さんが自動皮むき機を使って皮をむき、孝さんが「ほぞ」にひもを引っ掛けてつるす。1カ月ほどかけて乾燥させるが、湿度や気温に合わせて換気や温度調整が必要で、孝さんは「ずっと気を使っていないといけない。毎年手探りです」と話す。年を取ってから重い柿を持ち上げなくて済むよう、台車を作るなど工夫している。
同農協は今季、昨季並みの1200トンの市田柿の取り扱いを見込んでいる。11月下旬ごろに出荷が始まり、12月下旬に最盛期を迎える。