知的障害や精神疾患の人たちのアート作品を集めた展覧会が5日から、高岡市美術館で開かれる。アートを通じた障害者の社会参加を目指す高岡市の委託を受けた社会福祉団体などが企画。県内の公立美術館で本格的な展覧会は初めてで、施設の余暇活動にとどまりがちな障害者アートへの理解を広めたいという。
芸術分野で才能を発揮する知的障害者らの作品は「アール・ブリュット」と呼ばれ、独創性が近年、美術界で注目を集める。滋賀や京都など一部地域では街なかに専用の美術館や創作空間を設け、障害者の社会参加や自立につなげる活動が盛んになっている。
県内では高岡市が昨年度、障害者への理解と交流を促進し、共生社会を目指す基本計画を策定し、その手段としてアール・ブリュットに着目。まずは作品の面白さを広く知ってもらおうと、展覧会開催に至った。
知的障害者の美術活動を支援する同市のNPO法人「工房ココペリ」が作品集めを担当し、県内からは23人が出品する。ココペリは今年から、トランクに詰めた作品を全国の福祉団体と送り合い、各地で作品展を開く活動を行っており、今回の展覧会には福井や沖縄など4県から21人の作品が到着。会場には計200点以上の絵画や立体が並ぶ。
いずれも色鉛筆や段ボールなど身近な道具を用い、人間や動物、風景をユニークな造形や色彩感覚で表現。ポスターの裏面に下図なしでパーツを隙間なく描き、切って貼り付けると見事完成するロボット、従来の遠近法とは異なる視点で描いた風景画など、教え込まれた作品にはない自由さと表現する喜びがあるという。
ココペリ副理事で、日本画家の米田昌功さん(50)=富山市追分茶屋=は「アール・ブリュットには福祉や美術、教育など多分野の人を巻き込む力がある。理解が広まり、作家の社会参加につながれば、福祉、アートの両方にとって有益」と話す。
展覧会は5~20日で、入場無料。6、13の両日は午後2時から米田さんがギャラリートークを行う。高岡市手をつなぐ育成会主催、ココペリ共催、北日本新聞社後援。