南砺市北野(城端)の長楽寺営農組合(長谷川邦憲組合長)は県森林研究所(立山町)などが栽培技術を開発した「野生型エノキタケ」の栽培に今冬から乗り出した。特産品直売所などに並べ冬場の収入源とする。さらに加工品で城端の新名物を作ろうと老舗菓子店・田村萬盛堂(同市城端)とコラボレーション。エノキタケ入り赤飯の「総菜まんじゅう」を試作している。
野生型エノキタケは市販品より大ぶりで歯応えが良く、香りが強い。一般的なエノキタケは殺菌された特別な環境で菌を植え付けて作るが、県森林研究所と上田産業(高岡市)が抗菌作用のある別の菌と一緒に培養することで手軽に袋の中で野生型エノキタケを栽培できる方法を確立した。
同研究所などの取り組みを北日本新聞の記事で知った長谷川範明副組合長が菌床を取り寄せ、11月中旬から農機具格納庫で栽培を始めた。気温12度以下が生育に適するため冬期限定品となるが、県西部には栽培する営農組織がまだほとんどなく、いち早く取り組むことで城端の冬の特産にできると考えた。
加工品開発の依頼を受けた田村萬盛堂の田村悟敏店主はマツタケのような豊かな香りに注目。以前から総菜のような菓子を作りたいと考えており、しょうゆで味付けし、赤飯と混ぜてまんじゅうの皮でくるんだ。田村店主は組合長、副組合長、経田武志会計補佐の3人に試作品を披露し、「味も良く近く販売できそうだ」と手応えを語った。同組合は今後、地元の料理店にも食材として使ってもらうよう働き掛け、地域全体で名物に育てたいとしている。同組合産の野生型エノキタケは道の駅福光などで販売している。