霊峰白山の支脈に囲まれた大野盆地(福井県大野市)は、伏流水に恵まれている。そのため「大野の朝市」で有名な七間通りには、昔から地下水を使った味噌醤油(みそしょうゆ)の醸造元や酒造場が立ち並んでいる。
この通りで操業している南部酒造場が、醸造用にくみ上げている地下水を誰でも飲めるようにと、約20年前に軒下に水場を設けた。
南部隆保社長は「通りを歩きながら、休憩がてら水を飲み、また散策を続ける風景がよく見られるようになった」と目を細める。奥越前の芳醇(ほうじゅん)な酒に欠かせない秘蔵の仕込み水が、行き交う人の心を潤している。
× × ×
福井県は、健康長寿にも関連するといわれる県内の飲めるおいしい水を調査し「ふくいのおいしい水」の認定制度を設けている。