小浜市食文化館(福井県小浜市川崎3丁目)でリニューアル1周年を記念し、奈良時代から昭和までの「ごちそう」にスポットを当てた企画展が開かれている。天皇や貴族の食事や人をもてなした膳、現代人が味わっている料理などレプリカ約100点が並び、食を通して時代の変遷を映し出している。
同館は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された和食に焦点を当て、昨年3月にリニューアル。今回の展示は「お祝い感を出そう」(齋藤光子学芸員)と企画した。
安土桃山時代では、天下統一を目前にした織田信長が1582年、安土城で徳川家康に振る舞った料理を再現した。キジ、鶴などの鳥肉や塩漬けした魚などがふんだんに使われている。齋藤学芸員は「豪華で、現代の懐石料理のルーツと考えられている」と解説している。
江戸幕府が、黒船を率いて浦賀に来航したペリー提督に提供した料理のレプリカも展示している。幕府としては豪華にもてなそうと出した食事を、ペリーは「日本遠征記」で「軽食」と記述。価値観の違いが見てとれるという。
このほか、奈良時代の天皇や貴族が食したごちそうや、カレーライス、すしの折り詰め、すき焼きなど現代の"定番"も展示している。
齋藤学芸員によると、江戸時代以降は庶民が食文化をけん引してきた。「年中行事などに限られていたごちそうが、今は誕生日など日常的に食べている。ハレの日の定義が変わってきた」と指摘。その上で「いつの時代も、日本人はハレの日を重視していることを学んでほしい」としている。展示は、来年3月7日まで。