南砺市福野地域中心部で3日に行われる福野神明社春季祭礼・本祭りの曳山(ひきやま)巡行に向け、福野庵唄(いおりうた)保存会(大塚敞山(しょうざん)会長)が29日夜、邦楽界第一人者の三味線奏者、芳村伊(い)十(そ)一郎(いちろう)さん(東京)の指導を受け、最終調整した。昨年から復活した屋台の引き回しとともに、風情を漂わせる。
芳村さんの指導を受けるのは3月以来、2回目。南砺市庵唄伝承保存活動協議会(大西正隆会長)が、庵唄を継承している城端、福光、井波、福野の各地域のレベルアップを目指す取り組みの一つとして、実施した。
29日に同市の福野産業文化会館で行われた練習には、中学生から70代までの16人が参加し、3日の本祭りに向け、入念に音合わせをした。芳村さんは修正点を指摘しながら、音の合わせ方や間の取り方などを指導した。
大塚会長は「音をそろえる意識が高くなり、雰囲気も締まってきた」と、上達への手応えを感じた様子だった。
同協議会は今後も芳村さんを招いた講習を継続し、後継者育成への弾みにしたいと考えている。
■福野神明社春季祭礼、屋台巡行ことしも
3日の福野神明社春季祭礼・本祭りの曳山巡行(北日本新聞社共催)で、昨年復活した屋台引き回しがことしも行われる。
引き回されるのは、昨年と同様、上町・七津屋の屋台。高さと奥行きがともに3.6メートル、幅2.7メートルで、3層の建物をかたどっている。
本祭りでは、曳山4基と屋台4台が一緒に巡行するのが本来の形式だが、1952年を最後に屋台引き回しが途絶えていた。巡行に同行する囃子(はやし)や唄の担い手育成が進んだことを受け、昨年5月、最も保存状態が良い上町・七津屋の屋台を63年ぶりに復活した。
3日は午前10時から、福野地域中心部の通称「銀行四ツ角」で出発式を行い、神明社までの約200メートルにわたり、屋台が曳山を先導する形で巡行する。雨天や強風の場合は中止。