若狭路に春到来を告げる福井県小浜市の伝統行事「お水送り」(3月2日)を前に、由来や周辺の歴史を広く知ってもらう企画展「お水送りと若狭の神宮寺」が4日、同市遠敷2丁目の福井県立若狭歴史博物館で始まる。若狭と奈良のつながりを示す資料や写真パネル、鯖街道の中で最も古いとされる「針畑越え」を紹介する冊子など約50点を展示している。3月20日まで。
企画展は、県内外の観光客などに向けてお水送りや周辺地域の歴史を理解してもらい、見学の際に役立ててもらおうと毎年開催している。
若狭地方から納められた塩や食材を示す平城京出土の木簡(複製)や、製塩遺跡出土の土器などを展示し、奈良との深いつながりを紹介している。若狭神宮寺が奈良時代に創建されたことを示す瓦や須恵器が並ぶほか、お水送りが明治時代にもあったことを記した文書なども並ぶ。
また、お水送りがある鵜(う)の瀬上流の下根来で作られた特有のしめ縄や、金屋で鍋釜を生産していた鋳物師の装束、鋳物に欠かせない石灰岩のほか、若狭彦・姫神社の上棟に使われたとされる儀式用道具、上根来に伝わる地蔵菩薩半跏(ぼさつはんか)像なども並び、歴史ある土地柄だったことを示している。
針畑越えでは、登山記録が記された冊子や「鯖街道 針畑越ガイドマップ」も展示。峠から撮った写真のパネルをはじめ、神宮寺や鵜の瀬のパネルなども並んでいる。
芝田寿朗館長は「奈良にとって若狭は大きな存在だったことや、『海のある奈良』と呼ばれる小浜の歴史に触れて、お水送りを見てもらえれば」と話している。
入館料は一般300円(常設展観覧料込み)、高校生以下と70歳以上、障害者手帳持参の人は無料。午前9時~午後5時。13、27、3月13日は休館。問い合わせは同館=電話0770(56)0525。