飯田市江戸町の黄梅(おうばい)院。門をくぐると、左手に高さ約18メートルのシダレザクラがある。推定樹齢は約400年。「黄梅院の紅しだれ桜」として市天然記念物に指定されており、市内の桜の中でも特に赤みが強い。
今年は7日に開花し、週末の暖かさで一気に見頃となった。晴れ間がのぞいた10日午前、佐久市出身で横浜市に住む塙(はなわ)仁一さん(74)は「花の色が濃くて咲きぶりも見事。南信は一本桜が本当に美しいね」。塙さんは写真同好会の仲間と伊那谷の桜を巡る1泊2日の撮影旅行中で、好みのアングルを探しながらシャッターを切っていた。
黄梅院の北西には約100メートル間隔で正永寺と専照寺が並ぶ。3寺院ともシダレザクラの名所として知られ、観光客が市街地の散策を楽しみながら回っている。一帯のにぎやかな雰囲気はしばらく続きそうだ。