一般社団法人高遠石工(いしく)研究センター(伊那市)は13日、伊那市高遠町の建福寺で、江戸時代に高遠から全国に出向いた「高遠石工」の名工、守屋貞治の作品のライトアップを始めた。精緻に彫り込まれた衣のしわや、少し笑みをたたえた石仏の柔らかな表情が照らし出されている。
昨年の春と秋に続き、ライトアップは3回目。貞治の最高傑作とされる江戸後期の「西国三十三所観世音菩薩(ぼさつ)」などが夜陰に浮かび、訪れた人たちは石仏の表情に見入っていた。写真撮影で訪れた市内の会社員村上耕平さん(24)は「(格子が外されているので)表情がよく見えて、雰囲気が良い」と話していた。
建福寺には40体以上の石仏があり、センター事務局長の熊谷友幸さん(62)=伊那市荒井=は「地元でこれだけ多くの石仏が見られる所はない。細かな技術や表情から貞治の神髄に触れることができる」とPRしている。
ライトアップは高遠城址(じょうし)公園の「さくら祭り」に合わせ、15日までの午後5時半〜9時に行う。センター会員によるガイドもある。