黒部峡谷鉄道(黒部市黒部峡谷口)は20日、宇奈月―笹平間7・0キロで今シーズンのトロッコ電車の営業運転をスタートした。国内外から訪れた観光客を乗せたトロッコ電車の音が響き渡り、峡谷の観光シーズンが幕を開けた。5月1日に鐘釣(かねつり)まで運行区間を延長し、欅平(けやきだいら)まで20・1キロの全線開通は5日を予定している。
宇奈月駅ホームで始発式があり、小橋一志黒部峡谷鉄道社長が「新緑のエネルギーがあふれる春の黒部峡谷を楽しんでほしい」とあいさつ。「入山お許しの儀」のセレモニーで、女神に扮(ふん)した同社従業員が、運転士の滝林紀彦さんと車掌の橋本文也さんにトロッコ電車のキーを渡し、滝林さんが決意表明した。乗客代表の鎌野はるみさん(68)=福岡県=と原田和子さん(68)=熊本県=に記念品が贈られた。2人は「トロッコの旅を満喫したい」「景色を楽しみたい」と話した。くす玉割りの後、午前9時42分に韓国からの団体客を含む約180人を乗せたトロッコ電車が出発。法被姿の宇奈月温泉の女将(おかみ)らが手を振って見送った。
昨シーズンは、北陸新幹線の開業効果が一段落したことや、黒部川上流の不帰谷(かえらずだに)の土砂流出、台風による大雨などの影響で、乗降客数が約71万人と、2年ぶりに80万人を割り込んだ。今シーズンは昨年を上回る75万人の利用を見込んでいる。営業運転は11月末まで。