上伊那郡辰野町川島区渡戸(わたど)に、築約130年の空き家を再生、活用したカフェ「農民家(のうみんか)ふぇあずかぼ」が開店した。昨年、同町の「ほたる祭り」で焼き菓子を販売した塩尻市出身の山浦祐貴さん(29)が気に入って借り、半年以上かけて改修してきた。町などでつくる移住定住促進協議会が協力して住民にも参加を呼び掛け、延べ約250人が改修に携わった。店舗兼住居で、穀類や野菜を使った焼き菓子やランチを出す。
木造2階建てを平屋に改修し、店舗部分は90平方メートル余。20席設けた。黒くどっしりとした天井のはりや柱をそのままにして吹き抜けとし、看板は自ら彫刻刀で仕上げた。店名は、穀物や野菜中心の食生活をする人の間で健康食として知られる「小豆カボチャ」を略して付けた。卵や牛乳を使わずに焼いたクッキー、天然酵母のパンも用意した。
山浦さんは父の仕事の都合で6歳から23歳まで東京で過ごし、2011年3月の東日本大震災で都市機能が混乱したことなどから家族で帰郷。アレルギーがあった経験を基に、4年ほど前から牛乳や卵を使わない菓子を週末のイベントなどで販売。調理の修業もしてきた。昨年、ほたる祭りで店を出した縁で今年4月、町に移り住んだ。
「改修を通じて地域の皆さんとの交流が生まれた」と山浦さん。近隣住民から「頑張っているね」などと声を掛けられるという。町消防団にも入った。「ゆっくりしてもらえる空間にしたい」と話す。
ランチは当面、1日10〜15食を出す。7日までは毎日営業し、その後は月、火、水曜が休み(月曜が祝日なら営業)。午前11時半〜午後5時。問い合わせはあずかぼ(電話090・1203・1006)へ。