福井県小浜市阿納の蓮性寺の観音堂にある秘仏、十一面観音菩薩坐像が、福井県立若狭歴史博物館(同市)で公開されている。今回、初めて制作年代が11世紀中ごろと判明し、阿納住民たちの信仰の歴史を指し示す貴重な証拠であることが分かった。
同博物館によると、坐像は元は阿納の集落内に安置されていたとみられ、戦国時代ごろに同寺に移されたという。今回、同博物館が寺から坐像の年代調査を依頼された。
阿納には鎌倉時代より以前の宗教関連の遺物がなかったが、今回の調査により、信仰の歴史が平安時代にさかのぼることができた。
坐像は高さ約60センチのヒノキ製。顔、体、衣などの表現が柔らかく、平安時代の様式を表しているという。
いつもは17年に一度の開帳でしか公開されず、じっくりと秘仏を見られる貴重な機会となる。7月30日まで。観覧料は一般・大学生が300円。6月26日、7月10日は休館日。