ことしの干支「戌(いぬ)」にちなみ、江戸末期から明治期にかけて旧大野郡内外で作られたとみられる犬の土人形が、大野市民俗資料館で展示されている。旧大野郡の郷土玩具「梅屋人形」とされる人形など12点が並び、来場者の目を楽しませている。31日まで。
梅屋人形とみられる犬は高さ18センチ、長さ18センチ。首にオレンジ色と黄緑色の華やかな飾りを付け、垂れた黒い耳やほほ笑んでいるような口元が見る人の笑みを誘う。
梅屋人形は江戸末期から生産された民芸品。市教委学芸員によると、伏見人形(京都府)の美しさに引かれた屋根葺(ぶ)き業の男性が大野市塚原の原土を使い、似せて作ったという。
手頃な価格で販売され、玩具や土産品、ひな人形の代用品として親しまれた。男性の義弟が引き継いだが、その後は跡継ぎがなく2代で途絶えたため「生産数が少なく貴重」としている。
展示品ではこのほか、愛くるしい表情でお座りする犬や、りりしい立ち姿を見せるものが並ぶ。三国人形とみられる玩具や、犬を抱くおたふくの置物もある。
同館の常設展として天神や七福神、力士、おいらんなどの梅屋人形も紹介している。