公開されている国分寺の阿弥陀如来坐像=福井県小浜市の県立若狭歴史博物館

公開されている国分寺の阿弥陀如来坐像=福井県小浜市の県立若狭歴史博物館

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国分寺の「阿弥陀如来坐像」公開 福井県立若狭歴史博物館

福井新聞(2018年1月28日)

 福井県小浜市国分の国分寺にある阿弥陀如来坐像が、福井県立若狭歴史博物館で公開されている。同坐像は、同市内に存在したとされる国分尼寺にまつられていたらしい。長く尼僧に拝まれていた平安時代後期の作だが、表情には武家社会の到来を思わせる引き締まった作風がにじみ、凜とした美しさをたたえている。2月18日まで。

 国分寺は奈良時代、聖武天皇の発願で、諸国の中心地に建立された。同市に残る国分寺の本堂には、本尊として釈迦如来坐像がある。今回、公開している阿弥陀如来坐像は、同寺境内の薬師堂に、薬師如来坐像の脇に鎮座しているもの。

 阿弥陀如来坐像の下側に、江戸時代に修理した人物の名前が書かれているが、その中に国分尼寺の後身である「尼寺庵」の僧侶の名前がある。国分尼寺は創建当時、国分寺のそばにあったとみられている。

 国分寺・薬師堂内にある薬師如来、釈迦如来の両坐像の裏にも、阿弥陀如来と同様、尼寺庵僧侶の名前があり、国分尼寺の仏像3体が丸ごと薬師堂に移された歴史を物語っている。

 阿弥陀如来坐像は木造で、浅く滑らかに彫られた衣のひだや細見の体つきが、平安時代後期(12世紀)の仏像の特徴を示している。顔つきも穏やかながら、目の表情には力強さがあり、武士の活躍する鎌倉時代の到来が感じ取れる。

 同博物館の濱田沙矢佳学芸員は「とても美しい仏像で、都の雰囲気を伝えている。京で作られたか、京で修行した仏師の作ではないか」と話していた。入館料は300円で、70歳以上と高校生以下は無料。問い合わせは同博物館=電話0770(56)0525。

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