深瀬でくまわし保存会の公演は18日、白山市深瀬新町のでくまわし保存会館で行われ、会員12人が情感豊かな語りに合わせて「でく」と呼ばれる人形を操り、来場者約60人を物語の世界にいざなった。
三番叟(さんばそう)に続き、会員は源義経が元服するまでの人間模様を描いた「源氏烏帽子折(えぼしおり)」の二段、唐の皇帝から藤原氏に贈られる宝珠を題材にした「大職冠(たいしょくかん)」の初段と二段を熱演した。
尾口のでくまわしは文弥節による人形浄瑠璃で、350年以上前から白山麓の旧尾口村の深瀬と東二口に伝わる。深瀬出身者が移住した深瀬新町で披露するでくまわしは、太夫の語りと、まわし手の足踏み音のみで人形の喜怒哀楽を表現する。今年は松井定子さん(金沢市泉本町1丁目)が太夫を一人で担い、朗々と声を響かせた。
市東二口歴史民俗資料館では同日、東二口文弥人形浄瑠璃保存会のでくまわし定期公演が最終日を迎え、源平合戦に敗れ源氏への敵討ちを誓う平家の武者景清(かげきよ)にまつわる「出世景清」が上演された。