今月5月2日に亡くなった福井県越前市出身の絵本作家で児童文化研究家の加古里子さん(享年92)の作品を基にした越前和紙のうちわ作りが28日、同市内の和紙製造会社で始まった。涼感とともに、遊び心あふれる加古さんの絵本の世界にいざなっている。
五十嵐製紙(同市岩本町)は数年前から、絵本「だるまちゃんとてんぐちゃん」に登場するうちわを再現した手すきの商品を手掛けている。現在は5種類を販売し、この日は最も人気があるというだるま柄の製作を始めた。
赤く着色したコウゾなどの原料を型に流し込んでだるまの体を作り、「ひっかけ」という技法で顔の部分を付け、天日に干した。加古さんゆかりのうちわはインテリアとしても人気があり、だるま柄は冬場でも需要があるという。
社長の五十嵐康三さん(70)は「うちわという日常で使われる道具で、加古さんの優しい人柄を思い出してもらえたら」と目を細めた。
うちわ作りは9月ごろまで続き、1本1566円(税込み)で同市新在家町のパピルス館などで販売している。