完成したジュエリーボックスを眺める中門さん夫妻=輪島市二ツ屋町

完成したジュエリーボックスを眺める中門さん夫妻=輪島市二ツ屋町

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輪島塗の技、宝石箱に詰め 英のデザイナーと製作 中門漆器店

北國新聞(2018年8月30日)

 輪島市二ツ屋町の中門(なかかど)漆器店が、英国の著名デザイナー、ララ・ボヒンツさんと製作を進めていた輪島塗のジュエリーボックスが29日、完成した。複雑なかみ合わせを持ち、円柱や球が連なる独創的なデザインを、漆の都・輪島の技術力を結集し10カ月かけて仕上げた。9月中旬からロンドンのギャラリーで展示、販売される。価格は100万~200万円になるという。
 店主の中門博さん(60)と妻の睦子さん(59)は海外の販路開拓を目指し昨年7月、ロンドン在住のデザイナー沖恵美子さんを通じ、ボヒンツさんに共同製作を持ち掛けていた。
 完成したジュエリーボックスは、縦20センチ、横40センチ、奥行き25センチほどの大きさの2種類。「グッチ」や「カルティエ」などの高級ブランドを手掛けてきたボヒンツさんが昨年10月に指定したデザインは、円環や球、円柱などを組み合わせた形状で、博さんは「日本人の感覚ではとても思い付かない」と驚いた。
 博さんは指物(さしもの)、椀(わん)など複数の輪島の木工職人に木地の製作を依頼し、カツラ、イチョウなどを使って注文に応えた。塗りの工程では、博さんが自ら調合した青や緑、ピンクのパール漆を用い、輪島の呂色(ろいろ)職人の手で、つや出しした。
 ロンドン市内では世界中から独創的な作品を集めるギャラリーFUMIで展示され、スイスで年2回開催される家具展覧会などにも出展する。追加注文があれば、さらに製作する。
 中門漆器店は今後、欧州の富裕層に販路を広げる予定で、現在製作中のネックレスやピアス、鏡台なども完成次第、英国に発送するという。博さんは「製作は楽しかった。輪島の職人の技術の高さ、輪島塗の造形や色彩の美しさを知ってもらいたい」と話した。

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