あすなろふぁーむで、市内の園児たちとサツマイモ掘りを楽しむ中谷さん(奥左)と北村さん(奥右)=昨年10月

あすなろふぁーむで、市内の園児たちとサツマイモ掘りを楽しむ中谷さん(奥左)と北村さん(奥右)=昨年10月

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農福観連携の旅行商品 滑川あすなろ倶楽部企画

北日本新聞(2018年9月17日)

 滑川市上小泉の就労継続支援B型事業所「あすなろ倶楽部」は、都市部の親子を滑川市に招き、農業やクルージングを体験してもらう"農福観連携"の旅行商品を企画した。農業体験では、同市内の農園で、事業所の利用者と一緒に野菜を収穫できる。理事長の北村憲幸さん(67)は「滑川の魅力とともに、障害者への理解も深められる内容となった」と話し、都内の教育委員会などにアピールしている。 (滑川支局長・小幡雄也)

 あすなろ倶楽部は、一般就労を目指す県内の障害者を受け入れ、農作業や軽作業の場を用意している。滑川市の農事組合法人きたかづみから借りた農園を「あすなろふぁーむ」と名付け、職員と障害者が一緒に野菜を育て、市内の企業などに販売している。

 北村さんと施設長の中谷真理子さん(43)が農園を生かした新しい試みを模索。都会の子どもたちが自然の魅力に触れ、障害のある若者が同世代と交流できる企画を実現しようと、近くに事務所を構える旅行会社「ツアーズジャパン」と昨夏から話し合いを重ねて具体化した。滑川市教委やJAアルプス、美しい富山湾クラブ、県セーリング連盟にも協力を働き掛けている。

 ツアーズジャパン社長の早川祐一さん(65)は「『農福連携』『農観連携』という言葉はよく聞くが、それらが合わさった商品は珍しい。力になりたいと思った」と話す。

 ツアーのメインは農業体験で、あすなろふぁーむで自ら摘んだ野菜をバーベキューやカレーライスで味わう。JR富山駅で現地集合・解散する「着地型」。滑川沖で観光船に乗る「富山湾岸クルージング」、ヨットの試乗、近隣の観光地見学も取り込む予定。

 あすなろ倶楽部は来春からの本格実施に向け、東京都の世田谷区教委や「日本橋とやま館」などにチラシを配ってツアーの魅力を広めている。

 今年は試行段階で、10人以上から募集を受け付ける。これからの時期は農園でサツマイモやニンジン、ネギ、ダイコンが収穫できるという。

 中谷さんは「参加者、障害者双方に刺激が大きく、新しい発見や交流を得られる。将来的には、都会の特別支援学校の生徒たちを招いたり、同じ形の旅行企画が広まったりしてほしい」と話している。

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