能「船弁慶」で、源義経に襲い掛かる平家の亡霊を演じる松田さん=県立能楽堂

能「船弁慶」で、源義経に襲い掛かる平家の亡霊を演じる松田さん=県立能楽堂

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静と動の変化、劇的に 県立能楽堂で北國宝生能

北國新聞(2018年9月24日)

 北國宝生能(県能楽文化協会、北國新聞社主催)は23日、県立能楽堂で上演され、能「船弁慶」では、前半と後半でシテが、美しい白拍子と恐ろしい怨霊という静と動の変化を演じ分ける劇的な構成で、観客を引き込んだ。二胡の演奏や二胡と能のコラボ、狂言も行われ、観客は伝統文化の魅力を再確認した。
 「船弁慶」は、平氏討伐に功績を挙げた源義経(みなもとのよしつね)が、讒言(ざんげん)により兄・頼朝に疎まれ、武蔵坊弁慶らとともに西国に落ち延びる際の物語。宝生流の松田若子さん=金沢市=が、シテを務めた。
 松田さんは前半、義経最愛の女性・静御前(しずかごぜん)として登場し、義経との別れの宴で、愛情あふれる舞をたおやかに披露した。後半は、義経に恨みを晴らさんと襲い掛かる武将・平知盛(たいらのとももり)の亡霊として登場。幕の内から謡(うたい)を響かせ、舞台に上がるとなぎなたを振りかざし、荒々しく迫力あふれる舞を見せた。
 能に先立ち、二胡奏者李彩霞(りさいか)さんがゲスト出演し、「シルクロード」「競馬」を演奏。李さんのオリジナル曲「無題」に合わせ、宝生流能楽師、渡邊茂人さんが舞うコラボレーションも披露された。能村祐丞さんによる狂言「茶壺」では、茶壺の所有権を争う田舎者とすっぱ(詐欺師)のユーモラスな駆け引きに、会場から笑い声が上がった。

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