福井県の郷土料理「へしこ」の地域資源としての可能性を探る「福井へしこサミット2018」が11月10日、福井県若狭町のみさき漁村体験施設「みさきち」で開かれた。学生が1年かけて仕上げたオリジナルへしこのたる上げや、生産者による製法の紹介があり、参加者が試食を楽しみながらへしこの活用法を模索した。
福井工大環境情報学部デザイン学科が初めて主催した。同2、3年生が取り組む地域の魅力を生かして町おこしにつなげるブランディング授業の一環。
学生や地元住民ら約100人が参加した。学生は昨年11月から、今回のサミットに向けて自分たちでへしこを仕込んでおり、今回たる上げを披露。梅干しを一緒に漬け込んだオリジナルで、学生がサバを持ち上げると部屋にはぬかと爽やかな梅の香りが広がった。
へしこの食文化が根付く嶺南4市町の生産者はそれぞれの製法や特徴を紹介。敦賀市で民宿を営む山本敬子さん(45)は「国産のサバと無添加の調味料にこだわっている」ことを説明。美浜町女将(おかみ)の会の加藤美樹子さん(76)は「酒かすを混ぜて子どもや高齢者も食べやすいまろやかな味に仕上げている」と工夫を発表した。
学生が考案した「へしこチヂミ」や「へしこディップソース」などのレシピ紹介や試食もあり、参加者は五感を使って魅力を再認識。へしこ作りに挑戦した吉田一成さん(3年)は「食べたことはあったが作り方までは知らなかった。伝統の食文化がこれから広まるといい」と話していた。