飯田下伊那地域、静岡県北西部、愛知県東部の三遠南信地域の歌舞伎団体が集う「三遠南信ふるさと歌舞伎交流大会」が、下條村で16日に開かれる。村内開催は2012年以来。地元の下條歌舞伎保存会は、13年に亡くなった前保存会長の小池恒久さんから指導を受けた演目を復活させようと、稽古に熱を入れている。
同保存会は、9年ぶりとなる「奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)三段目袖萩祭文(そではぎさいもん)の段」を上演する。平安時代に駆け落ちして勘当され、盲目になった袖萩が娘と両親を訪ねて不孝をわびる場面が見どころ。小池さんが生前、義太夫と三味線の弾き語りで演目をけん引し、振り付けの指導を行ってきた。
4日夜は、小池さんに習った会員らが若手に振り付けを助言。初めて袖萩役を務める川上藍さん(22)は「過去の映像などを見ながら練習してきた。涙を誘う演技をしたい」。副会長の福沢利尚さん(75)は「小池さんから教わった演目を絶やさないよう、受け継ぎたい」と意気込む。
午前10時開演。雄踏(ゆうとう)(浜松市)、湖西(静岡県湖西市)、豊橋素人(愛知県豊橋市)、大鹿(大鹿村)、浦川(浜松市)の保存会の順で登場し、下條は最後の午後4時50分ごろから。無料。問い合わせは下條村教委(電話0260・27・1050)へ。