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金箔付き笠塔婆が出土 国内初、金沢の千田北遺跡

北國新聞(2019年2月15日)

 金沢市埋蔵文化財センターは14日、同市千田町の「千田北遺跡」で、金箔(きんぱく)が貼られた鎌倉時代前期のものとみられる木製の「笠塔婆(かさとうば)」が出土したと発表した。国内で珠洲市の野々江本江寺(ぼんこうじ)遺跡で出土して以来2例目で、金箔が付着したものは初めて。当時の有力者が荘厳さを演出するために施したとみられ、専門家は金沢で見つかった金箔付きの遺物に「奇跡のような史料だ」と驚きを隠さない。
 金沢市埋蔵文化財センターによると、笠塔婆は柱に「額(がく)」と呼ばれる板を張り、笠型の屋根を載せた形で、平安時代末期から出始めた。供養目的で墓地に設置するほか、街道沿いや寺院前など人が集まる場所に建てられたと考えられる。
 出土したのは、13世紀ごろのものとされる笠塔婆3基分の額や笠の一部など計27点で、昨年8~9月にばらばらの状態で堀部分から見つかった。柱部分は見つかっていないが、額などから高さ2・5メートルほどと推定され、何らかの理由で廃棄されたとみられる。
 金箔の付いた額は3枚で、いずれも長さ70センチ、幅19センチ、厚み1・7センチ。金箔はそれぞれの額に彫られた梵字(ぼんじ)に貼ってあった。梵字は、欠損で解読できない部分もあるが阿弥陀三尊の「阿弥陀如来」「勢至菩薩(せいしぼさつ)」「観音菩薩」を意味するとみられる。笠塔婆を囲う柵や周囲に敷き詰めたとみられる石も見つかり、3基そろいで建てたとみられる。今後、詳しい年代を測定する。

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