福井県越前市でのみ公開される大型紙芝居「あかいアリとくろいアリ」などが並ぶ加古里子さんの特別展=3月21日、同市武生公会堂記念館

福井県越前市でのみ公開される大型紙芝居「あかいアリとくろいアリ」などが並ぶ加古里子さんの特別展=3月21日、同市武生公会堂記念館

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加古さとしさんの世界温か 越前市で全国巡回展 初公開も

福井新聞(2019年3月22日)

 「だるまちゃん」シリーズや「からすのパンやさん」などで知られ、昨年5月に92歳で亡くなった福井県越前市出身の絵本作家、加古里子(かこさとし)さんの特別展「加古里子 ただ、こどもたちのために」が3月21日、同市武生公会堂記念館で開幕した。全国巡回展の皮切りとなる展示会で、初公開作品18点や同市のみでの公開となる大型紙芝居など3点を含む原画、絵画など約120点が並ぶ。5月12日まで。
 
 加古総合研究所(神奈川県藤沢市)と越前市教委が主催。加古さんが生前残した言葉をたどりながら、幼少期から晩年までの人生や思い、創作活動を5部構成で紹介している。

 越前市のみでの公開となる大型紙芝居「あかいアリとくろいアリ」は、加古さんが28歳の時に描いた縦56センチ、横77センチの大作。昭和電工での会社勤め時代に作ったもので「仲間が夜勤でいない時に見計らって描いて、夜の間ぶら下げて乾かしました」との加古さんの言葉とともに、時には徹夜で紙芝居作りに没頭したエピソードなどが紹介されている。孫のカメツヒロキさんが最後の誕生日に贈った加古さんの似顔絵と、第8回「NHKハート展」に出展された絵画も越前市限定で公開。

 科学絵本「海」のために描いた絵画は全国初公開の作品の一つ。海の生き物や、太陽の光が大気中を進む様子が温かなタッチで細やかに描かれている。絵本に使用されなかった貴重な存在。

 他にも「だるまちゃん」シリーズや「どろぼうがっこう」などの原画、複製画などが多数並ぶ。

 開幕に先立ち、21日は同記念館で開会式典が開かれた。加古さんの長女、鈴木万里さんや奈良俊幸越前市長、書店関係者ら約40人が出席。鈴木さんは「じっくりご覧いただき、加古里子が生涯をかけて伝えたかったメッセージを受け取っていただけたら」とあいさつした。鈴木さんらによるテープカットもあった。

 午前10時~午後6時(休館日あり)。一般500円、高校生以下無料。問い合わせは同記念館=電話0778(21)3900。

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