水上さんの作品が、ずらりと並ぶ生誕100年前期企画展=福井県おおい町岡田の若州一滴文庫

水上さんの作品が、ずらりと並ぶ生誕100年前期企画展=福井県おおい町岡田の若州一滴文庫

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水上勉さん生誕100年で企画展 福井県出身の直木賞作家

福井新聞(2019年8月17日)

 福井県おおい町出身の直木賞作家、水上勉さん(1919~2004)の生誕100年を記念した前期企画展が、同町岡田の若州一滴文庫で開かれている。膨大な著作の中から同文庫が設立される前年となる1984年までの作品を展示。ずらりと並んだ書籍から水上さんの執筆活動の軌跡が見て取れる。10月14日まで。

 水上さんは1948年から書籍を書き始めた。しかし、なかなか売れなかったことから約10年、苦悩の日々を過ごした。空白の期間を経て59年に刊行した「霧と影」が60年に直木賞候補となり、"文壇再デビュー"。以降、「飢餓海峡」や「雁(がん)の寺」など数々の人気作を世に送り出し、戦後の昭和を代表する作家として活躍した。

 企画展では、初期の作品から執筆活動に打ち込んだ84年までの作品など計約250点が並んでいる。また「失われゆくものの記」の生原稿、「日本霊異記」の校正原稿など貴重な資料を展示。執筆するに当たり、さまざまな資料から情報収集した形跡がうかがえる調査資料も見ることができる。このほか、水上作品の舞台と関係地を記した「文学地図」もある。

 同文庫の下森弘之学芸員は「展示を見て作家が、どれほどの苦労を重ねて本の執筆に当たっているのかに、思いをはせてほしい」と話している。後期企画展は10月16日から開始。同文庫設立を境に、書や絵画など文学以外に活動の幅を広げた水上さんに迫る予定だ。

 入館料300円(中学生以下と70歳以上は無料)。火曜休館。問い合わせは同文庫=電話0770(77)2445。

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