福井県勝山市滝波町の伝統行事「お面さん祭り」が2月11日、滝波町ふれあい会館で営まれた。開帳された三つの古い能面を住民が拝み、五穀豊穣(ほうじょう)と無病息災を祈った。
市無形民俗文化財に指定されており、開帳は年に1度。言い伝えでは、面は平泉寺が由来とされ、戦国時代に七つの神面が一揆衆に持ち出された。そのうち三つの面は当時の滝波村で拾われ、集落に幸せをもたらしたという。以来、大切に保管され、面を拾った日に祭礼を営んでいる。
裃(かみしも)姿の奉吏(ほうり)2人が厨子(ずし)を開き、翁(おきな)、父尉(ちちのじょう)、三番叟(さんばそう)の面が現れた。表情がほほ笑んで見えると、幸福や長寿などに恵まれるとされる。集まった住民は、お神酒や薄切りの大根に練った米をのせた「おしとぎ」を口にし、能面に見入った。
内藤誠一郎区長(66)は「今年は非常にほほ笑んでいるように見える。滝波区の守り神のような存在なので良い一年を過ごせると思う」と話していた。
残る四つの面は勝山市北谷町谷に伝わる。谷のお面さん祭りは15日に営まれる。