福井県大野市の市歴史博物館の企画展「絵図に見る越前大野城と江戸屋敷」が開かれている。江戸時代初期から明治時代初期に描かれた大野城の絵図や、徳川幕府が大野藩主土井家に与えた江戸屋敷の絵図など36点を展示。取り壊される直前の大野城の様子や、江戸屋敷の立地環境などを読み取ることができる。10月11日まで。
陸軍省が明治5年(1872年)、廃藩置県に伴い、全国各地の城を取り壊すか軍事上必要として残すかを判断するために作成した「陸軍省城絵図」。解体直前の城の様子が分かる貴重な資料とされている。企画展では大野城、勝山城、丸岡城、鯖江藩陣屋、小浜城の"県内5城"を描いた同絵図の複製7枚が県内で初めて展示された。
同絵図の「大野城郭図」(縦約93センチ、横約122センチ)には、真上から見た本丸や本丸番所などが描かれている。江戸時代の絵図の二の丸部分にあたる元大野県庁と旧知事館は、明治初期には二つの建物に分かれていたことがわかる。
大野城に関連した絵図はこのほか、石垣などを修復する際、幕府に提出した「大野城破損修復願」や「焼失付修復之願」など、さまざまな時代に描かれた13枚が並ぶ。
また、土井家が参勤交代で住んでいた江戸の屋敷周辺の絵図10枚を紹介しており、このうち6枚は初公開。7代藩主土井利忠の私邸と伝わる「築地御屋敷総絵図面」には、こぢんまりした屋敷と大きな庭園が描かれており、面積は3798坪と記されている。
杉本幸男主任学芸員は「門から入って、ここを通ってと想像しながら絵図を見ると面白い。自分なりに想像して楽しんでほしい」と話している。
9月19日午後1時半から2時まで、学芸員による展示案内がある。入館料は高校生以上300円。大野市民と中学生以下は無料。