辰巳用水が国史跡に指定された2010年にトンネルを見学に訪れた海外の土木研究者=金沢市上辰巳町

辰巳用水が国史跡に指定された2010年にトンネルを見学に訪れた海外の土木研究者=金沢市上辰巳町

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「アジアの水遺産」に辰巳用水 国内で初の選出、国際学会

北國新聞(2020年9月16日)

 金沢市の辰巳用水が15日、国際水圏環境工学会の「アジアの水遺産」に国内で初めて選ばれた。江戸期の高い土木技術や現代まで続く維持管理の営みが高く評価された。2010年に国史跡指定、18年に土木学会の選奨土木遺産の認定を受けたのに続く表彰で、辰巳用水の国際的な知名度向上が期待される。
 同学会は1935年の設立で、水工学の国際学会としては最も古い。アジアの水遺産は学会のアジア太平洋部会が2016年に表彰を始め、これまでにスリランカのパラクラマ湖1件が選ばれていた。
 今年は国際会議の開催国である日本から、辰巳用水、大阪狭山市の狭山池、北海道の石狩川流域の治水・利水施設群の3件が選ばれ、15日に札幌市内で開幕した会議で発表された。
 辰巳用水は▽3・3キロに及ぶトンネルの正確な掘削▽約11キロの区間を9カ月余りで完成させた工期管理▽トンネルのわずかな勾配を保つ測量▽「逆サイホン方式」の送水―といった技術的特色に加え、現代まで約400年、適切な維持管理を施して農業や景観創出に貢献している点が優れているとされた。
 学会への推薦はNPO法人「辰巳用水にまなぶ会」が行い、用水の管理主体である辰巳用水土地改良区、金沢市、石川県の3団体が受賞者となった。オンラインで行われた15日の表彰式では、まなぶ会理事長の玉井信行東大名誉教授が辰巳用水の概要を説明した。
 受賞について、まなぶ会副理事長の北浦勝金大名誉教授は「辰巳用水の『世界デビュー』によって、金沢の文化を支える用水の良さが地元で見直されていけばいい」と述べた。

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