県立七尾特別支援学校珠洲分校は26日までに、のと鉄道旧能登線の鵜飼(うかい)駅(珠洲市宝立町鵜飼)を展示ギャラリーに活用する取り組みを始めた。分校近くにある旧駅舎内で生徒手作りの皿やコップの展示をはじめ、地元の情報発信に取り組む。かつては地域の足として盛んに利用された旧駅舎を芸術空間に有効活用し、新たな交流やにぎわいの拠点に「再生」させる。
同校の「鵜飼駅創生プロジェクト」と銘打った活動で、2005年3月に廃止された駅舎内の一部スペースを使い、高等部の16人が授業で仕上げた色彩豊かな茶わんや皿、小銭入れ、クラフトバッグなど約20点が並んだ。地元の景勝地の見附島をダイナミックに描いたボードも掲げられた。
生徒は例年、地域の「桜まつり」に参加して販売実習などを通じて住民と交流を深めてきたが、今春はコロナ禍で臨時休校が続き、生徒の活動を知ってもらう機会がほとんど失われた。過疎化も相まって、地域に活気が失われていくのを感じた生徒が少しでも地元を元気づけようと、旧駅舎での作品展示や情報発信に取り組むことを決めた。
旧鵜飼駅舎内には現在、路線バスの待合室やカフェが開設されている。同校では生徒が週1回程度駅舎内を清掃するなど、利用者が快適に過ごせる環境づくりに協力しており、作品展示を通じて住民とのつながりを深める場に活用したい考えである。
生徒は30日、地元住民と協力して駅構内の除草作業にも取り組む。今後は奥能登の観光資源や産業を紹介するパネル展も計画している。高等部2年の山口翔さん(17)は「多くの人に自分の作品を見てもらいたい。旧駅舎がにぎわいの場に生まれ変わればうれしい」と笑顔で話した。