石川県金沢城調査研究所は3日、二の丸御殿の復元を目指して進める埋蔵文化財調査の報道向け現地説明会を開いた。御殿の柱を支えた基礎部分のほか、排水施設や石室、くぐり抜け階段など、新たに確認された遺構を公開した。
基礎部分は御殿の北東端に当たる調査エリアで見つかった。藩政期の絵図との照合から、藩主が政務を執った建物「表向(おもてむき)」の表玄関「式台(しきだい)」や廊下「広縁(ひろえん)」にあった柱の下部とみられる。格子状に並ぶ柱の基礎部分が明らかになることで、御殿が金沢城公園二の丸広場のどの位置に立っていたのかが判明する。
玄関北側では平面六角形の升が見つかった。江戸後期の絵図にも記されている。
金大と県教委が1969年に旧城内キャンパスで実施した発掘調査後に埋め戻した場所からは、廊下の床下から中庭に出入りするくぐり抜け階段や石室、排水施設などの遺構が姿を現した。別の場所では明治~昭和初期にあった旧陸軍第九師団の馬場や排水管などが見つかった。
今年の調査は18日まで行われる。調査研究所の冨田和気夫副所長は「遺構を一つ一つ丁寧に調べ、御殿の全体像に迫っていきたい」と話した。
県は5日午後1時半から二の丸広場で一般向けの説明会を開く。現場を公開し、担当者が調査結果を解説する。参加無料で、希望者は現地に集合すればよい。