台湾で、金沢で、八田與一(よいち)技師を慕う人々が友好発展へ気持ちを一つに踊った。8日開催された烏山頭(うさんとう)ダムの着工100年記念式典(北國新聞社特別協力)は、フィナーレで参加者が技師ゆかりの「烏山頭踊り」を同時に披露し合い、にこやかに心を通わせた。
踊りは着工100年記念事業として、技師が残した歌詞に民謡加賀山流家元の加賀山昭さんが曲を付け、金沢市民謡協会所属の兼生(けんしょう)会総師範で北國新聞文化センター講師の兼生千柳(せんりゅう)さんが振りを付けて完成させた。
両会場のステージに浴衣姿の参加者が並び、加賀山さんの三味線と加賀山紋(あや)さんの唄でスクリーン越しに踊りを繰り広げた。
踊りの動作には「トンネルを掘る」「大地が潤う喜び」など一つ一つ意味が込められている。両腕を交互に斜めに振り下ろす動きで参加者は「八」の字を表現し、八田技師に感謝をささげた。
兼生さんは「台湾の方々がとても上手に踊っていて驚いた。振りの意味もしっかり理解していてくれればうれしい」と話した。
式典では、技師の孫である八田修一さん(63)が台湾側に「ダムや水路を今も大切に使ってもらえ、八田は涙ながらに喜んでいる」とあいさつ。「ガムシャー(感謝)、台湾」と声に力を込めた。
式典の様子は、台湾の民放「民視テレビ」が台湾全土に向けて生中継した。