寄贈されたレコードを磨く八日市屋さん=金沢市尾張町2丁目の金沢蓄音器館

寄贈されたレコードを磨く八日市屋さん=金沢市尾張町2丁目の金沢蓄音器館

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金沢蓄音器館に寄贈ラッシュ 全国から1年で32人 巣ごもりの整理整頓で

北國新聞(2021年5月12日)

 コロナ禍の外出自粛により整理整頓する機会が増えた影響で、金沢蓄音器館(金沢市尾張町2丁目)に1年間で全国の32人から蓄音器やレコードが寄せられ、問い合わせも相次いでいる。中には金沢にゆかりある品があり、館長の八日市屋典之さん(70)は「これも何かの縁。しっかりと後世に残していきたい」と話している。

 4月下旬、東京の男性から、金沢の歩兵第83連隊長だったという祖父が金沢で買い求めたとされるレコードが届いた。祖父が1950年代までよく聞いていたというエピソードが添えられており、八日市屋さんは「レコードにはそれぞれの思い出がたくさん詰まっている」と語る。

 亡くなった夫が大事にしていた蓄音器とレコードを寄贈した新潟の92歳女性は「元気なうちにもう一度音色を聞きたい」と、昨年10月、3日連続で来館した。

 金沢蓄音器館は、八日市屋さんの父で、戦前から市内でレコード店を営んできた浩志さんのコレクションを中心に開館した。現在は全国の愛好者らから寄せられた蓄音器約600台、SPレコード約3万枚を収蔵する。

 八日市屋さんによると、「蓄音器」の名のつく資料館や博物館は国内でもここだけで、コロナ禍以降、家を片付けた際に見つかった蓄音器やレコードに関する問い合わせが全国から寄せられる。

 内容は「捨てるのはしのびないので寄贈したい」「修理できますか」「価値のあるものですか」など。八日市屋さんや従業員が修理方法やSPレコードとLPレコードの違いなどを説明し、蓄音器館で引き取る場合もある。

 引き取った蓄音器やレコードは痛みが激しい場合、八日市屋さんが修理したり、磨いたりする。磨いたレコードは館内の蓄音器で流す。八日市屋さんは「思い出が詰まった蓄音器やレコードにいつでも出合える場所にしたい」と話した。

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