卓越した精緻の技と美に見入る来場者=金沢市の金沢エムザ8階催事場

卓越した精緻の技と美に見入る来場者=金沢市の金沢エムザ8階催事場

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精緻の技と美に心潤す 石川の伝統工芸展開幕 新たな表現、124点並ぶ

北國新聞(2021年6月3日)

  〈金沢エムザ8階催事場〉

 第61回石川の伝統工芸展(日本工芸会、同石川支部、北國新聞社主催)は2日、金沢市の金沢エムザ8階催事場で開幕し、新たな表現を追求した124点が並んだ。新型コロナの影響で2年ぶりの開催となった同展では、光や希望などをイメージさせる明るい作品が目立ち、待ちわびた愛好者が卓越した精緻の技と美に心を潤した。

 展覧会場では県内在住の人間国宝9氏の意欲作をはじめ、陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形の入選入賞作が並んだ。

 最高賞である知事賞に輝いた田島正仁さん(73)=陶芸・小松市=の「彩釉鉢(さいゆうはち)『光彩(こうさい)』」は、暗雲を裂く一筋の希望の光を釉薬で表現。北國新聞社社長賞に輝いた荒川文彦さん(59)=漆芸・加賀市=は、雲間に光が差し込む「光芒(こうぼう)」をイメージした乾漆の器を出品した。

 日本工芸会賞を受けた毎田仁嗣さん(46)=染織・金沢市=の「友禅訪問着『水明』」は、水や光がモダンな意匠で表現されており、来場者が模様の織りなすリズムや、染めを重ねた深い色に感じ入っていた。

 2日はANAホリデイ・イン金沢スカイで表彰式が行われた。日本工芸会石川支部長の温井伸北國新聞社社長があいさつした。審査委員長の唐澤昌宏国立工芸館長が講評し、「次の世代を育てるのも工芸王国の責務。他分野につながりを求め、分野横断の交流機会を設け、底上げにまい進してほしい」と激励した。

 展示は7日まで。入場無料。

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